マンハッタンにある15分署を舞台に、刑事たちの生活をハードボイルドに描き出す刑事ドラマ
1993年から2005年まで12シーズンに渡って放送された骨太刑事ドラマ『NYPDブルー』。手持ちカメラでわざと画面にブレ感を出すという革新的なカメラワークで注目を集めた。『刑事コロンボ』の脚本や『ヒル・ストリート・ブルース』『LAロー』で知られる伝説のプロデューサー=スティーブン・ボチコの製作総指揮作品だ。
『NYPDブルー』が始まった1993年当時、全米ネットワークのテレビ放送にはまだまだタブーがたくさん存在した。ヌーディーな描写はもちろんのこと侮辱ワードや差別発言も御法度だったのだ。そんなタブーに正面から挑戦し刺激的な話題をさらったのが『NYPDブルー』だった。
加えてリアリティを追及するボチコらしいストーリー展開や手持ち撮影によるダイナミックな映像も話題となり、それまでのテレビドラマの常識を覆したとまで言われたのだった。
『NYPDブルー』のヒットと共に一躍人気俳優へと成り上がったのが、ジョン・ケリー役デイヴィッド・カルーソ。ボチコとは『ヒル・ストリート・ブルース』以来の付き合いだ。
カルーソのケリー刑事役はまさにはまり役で、誰もがカルーソのいない『NYPDブルー』など想像だにしていなかった。なのに名前が売れたとたんに映画界でのし上がる野望を抱いたカルーソは、シーズン2中盤であっさり降板してしまったのだ。
そこで新たな主役となったのが、ケリーの相棒だったベテラン刑事アンディ・シポウィッツ。演じているのはハゲで小太りのデニス・フランツ、カルーソとは似ても似つかぬ真逆ビジュアルの持ち主だ。これで『NYPDブルー』の失速も確実かと思われていたものの、意外や意外フランツの演技は硬派ドラマにぴったりで更なる人気を生んだのだった。
12シーズンも続くご長寿番組ともなると、その受賞歴はすべて把握するのが難しいほどだ。TV界の最高峰と言われるエミー賞などもはや常連さん状態である。95年の作品賞、4度の主演男優賞を含めて20部門以上での受賞歴があるのだ。
ミステリー賞の最高峰、アメリカ探偵作家クラブ主催のエドガー賞テレビ部門についても3度の受賞という驚きの快挙を成し遂げている。
いやはや、もしもあのままカルーソが主演を続けていたらもしかしたらこの快挙はなかったのかもと思うと、ほんと人生何が幸いするかわからないとしみじみしてしまうのである。
4度のエミー主演男優賞に輝くデニス・フランツに対して、後ろ足で砂をかけて出て行ったカルーソのその後はどうなったのかが気になるところ。自分の人気が『NYPDブルー』を支えていると勘違いし意気揚々と映画界に乗り込んだものの思うようなブレイクは成らず。ハリウッドはそう甘くはないのだ。
尻尾を巻いてテレビ界に出戻ったものの、俳優廃業を考えるほどの低迷期を経験したようだ。しかし神様は彼を見捨てなかった。2002年『CSI:マイアミ』の主役に抜擢され、今度は天狗になることなく最終シーズンまで立派に務め上げた。
『NYPDブルー』をみた後は、視聴履歴を付けてみよう。
アカウントを作成する場合は、DRACO の利用規約とプライバシーポリシーに同意したものとみなします。
ログインしてお気に入り登録やコメント投稿をしよう。
アカウントを作成する場合は、DRACO の利用規約とプライバシーポリシーに同意したものとみなします。
『NYPDブルー』をみた後は、視聴履歴を付けてみよう。
アカウントを作成する場合は、DRACO の利用規約とプライバシーポリシーに同意したものとみなします。